埼玉熊谷相続遺言相談センター
代表者 内田三好行政書士
〒360-0851
埼玉県熊谷市下増田962-2
TEL:048-531-2158
FAX:048-501-8827
午前9時から午後7時
出張相談も承ります

相続人の調査(戸籍収集、相続分)、相続関係説明図作成

亡くなった方の相続人は誰なのか、戸籍関係書類を取り寄せて調査します。

  • 遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。相続人が抜けていた場合には、仮に遺産分割協議が成立したとしても、そのような遺産分割協議は無効と判断され、最初からやり直す必要がある場合もあります。

  • 相続人の調査は、通常は、戸籍謄本によります。そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍と、その戸籍に記載された相続人の現在までの戸籍を収集して相続人を調査します。何人も子供がいたり、その子供が亡くなっていたりと、この戸籍の調査は想像以上に大変で、時間もかかります。

  • 相続人が確定したら、相続関係の説明図を作成します。
  • (1) 相続人
    • ① 配偶者

      ・ 被相続人の配偶者(夫や妻)は、常に相続人になれます。
      ・ 他の相続人が1人もいないときは単独で相続しますが、他に相続人がいれば共同相続することになります。
      ・ なお、被相続人の愛人や、内縁の妻、前妻などは、「配偶者」に含まれません。
      ※ 内縁(事実婚)とは、婚姻届を出してはいないものの、男女そ
      れぞれに結婚の意思があり、実際に夫婦生活を営んでいる男女
      の関係のことをいいます。

    • ② 配偶者以外の相続人

       配偶者以外の相続人には、相続順位があり、第2順位、第3順位の人は、上位の人がいない場合にのみ相続人になることができます。

         ⅰ 第1順位 子
      ・ 実子だけでなく、養子、胎児も「子」に含まれます。
      ・ 相続開始時(被相続人が亡くなったとき)に、子がすでに亡くなっていたときは、被相続人の直系卑属(子の子(孫)など)が相続します(「代襲相続」といいます)。
      ・ 配偶者がいない場合は、子だけが相続人になります。
      ・ 子が第1順位ということは、子が1人でもいれば親や兄弟姉妹は相続人になれないということです。

         ⅱ 第2順位 直系尊属(父母、祖父母など)
      ・ 第1順位の相続人がいない場合に相続人になります。実父母だけでなく、養父母も「父母」に含まれます。
      ・ まず、親等の一番近い父母が相続人になり、父母がいないときは祖父母、祖父母がいないときは曾祖父母と、さかのぼっていくことになります。

         ⅲ 第3順位 兄弟姉妹
      ・ 第1順位、第2順位の相続人がいない場合に相続人になります。
      ・ 相続開始時に兄弟姉妹がすでに亡くなっていたときは、その子
      (甥、姪)が代襲相続します。

    • ③ 養子について
      ・ 養子は実子と全く同様に扱われます。
      ・ また、養子に行ったからといって、原則として、実父母との親子関係がなくなりませんから、養子は実父母と養父母の双方から相続できることになります。
      ・ しかし、特別養子の場合は、実方の親族関係が終了しますから、実父母を相続することはできません。

      ※ 死後離縁と相続

      • 養子縁組は、養親または養子が死亡しても、そのことをもって当然に解消(離縁)とはなりません。養親または養子が死亡した後で、その者と養子縁組をしている生存当事者が離縁をする場合、家庭裁判所の許可を得る必要があります。これを「死後離縁」といいます。
      • そして、死後離縁した場合も、養親子関係に基づき既に生じた相続における相続人の地位は、影響を受けることはありません。つまり、養親死亡後に相続人である養子が養親との養子関係を死後離縁した場合でも、養子は依然として亡養親の相続人のままとなります。
      • ただ、死後離縁の手続きを行うことにより、生存当事者と死亡当事者の親族との間の親族関係を解くことができます。例えば、養親が死亡した後に、養子が死後離縁の手続きを行うことにより、養子縁組先の兄弟姉妹との親族関係がなくなることになるので、将来、養子が死亡した際に発生する相続の際には、養子縁組先の兄弟姉妹は相続人の資格がないことになります。

    • ④ 胎児について    
      ・ 相続開始時に母親の胎内にいる胎児も相続権があります。
      ・ ただし、死産であった場合は相続人になりません。胎児が生きて生まれたときに、相続開始時にさかのぼって相続したと認めるわけです。
    • ⑤ 非嫡出子(婚姻関係にない男女間の子)について

      ・ 愛人の子など、婚姻外の子でも父親が認知していれば、親子関係があるので相続人となります。認知されていなければ、相続権はありません。
      ・ この場合、未認知の子は実の父に対して認知をするよう家庭裁判所に請求することができます。認知請求は実の父が死亡している場合でも可能ですが、実の父が死亡してから3年以内に申し立てる必要があるので、注意してください。

    • ⑥ 代襲相続について

      ・ 前記②ⅰのとおり、被相続人の子が被相続人より先に死亡したとき、その人の子(孫)が相続人になります。
      ・ このように、相続人となるべき人が被相続人より先に死亡したとき(または同時に死亡したとき)に、その子が相続権を受け継ぐことを「代襲相続」といいます。
      ・ 被相続人の子の代襲相続人も被相続人より先に死亡したとき(または同時に死亡したとき)は、その子(曾孫)が相続人になります。これを「再代襲相続」といいます。
      ・ 被相続人の兄弟姉妹の子(甥、姪)も代襲相続人になります。つまり、被相続人の兄弟姉妹が被相続人より先に死亡したとき(または同時に死亡したとき)は、その人の子が相続人になります。
      ・ しかし、被相続人の兄弟姉妹について再代襲相続はされませんので、被相続人の兄弟姉妹の子も被相続人より先に死亡したときは、その兄弟姉妹の子の子は相続人になりません。
      ・ なお、養子縁組後に生まれた養子の子は代襲相続人になれますが、養子縁組前に生まれた養子の子は代襲相続人になれません。

    • ⑦ 欠格、廃除について

      ○ 欠格
      一定の事由(欠格事由)により法律上当然に相続の資格がないとされることです。本来なら当然相続人となるはずの者でも、次のような、被相続人等に対してひどい扱い方をした者については、法律で相続人としての資格を奪っています。

      ⅰ 故意に被相続人、先順位の相続人または同順位の相続人を死亡させまたは死亡させようとしたために、刑罰を受けた者。
      ⅱ 被相続人の殺害されたことを知りながら、告訴・告発をしなかった者。
      ⅲ 被相続人が、遺言をする際、詐欺・強迫をした者、または遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者。

      ・ ただし、欠格者の子は、欠格者に代わって相続人となること(代襲相続)が許されています。

      ・ なお、最高裁は、遺言者の意思を実現させるためにその法形式を整える趣旨でされたに過ぎない変造行為は、相続欠格事由には当たらないとし、
      ・ また、遺言書の破棄・隠匿が、相続に関する不当な利益を目的としない場合は、相続欠格事由に当たらないとしています。

      ○ 廃除
      ・ 被相続人の意思により、遺留分を有する推定相続人(現時点で相続が開始すれば、民法の規定によって相続人となるであろう人)の相続権を奪うことです。

      ・ 本来なら当然相続人となれる者のうち、特に遺留分を持つ相続人(配偶者、直系卑属、直系尊属)が、被相続人を侮辱したり虐待したとき、または著しい非行があったときには、被相続人は家庭裁判所に、相続人の資格を奪ってもらうための請求をすることができます。
      ※ 遺留分とは、一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合のことです。

      ・ 生前の廃除と遺言による廃除が認められています(遺言による廃除の場合は、遺言執行者が家庭裁判所に請求して行います)。
      ・ なお、廃除は、被相続人の意思(遺言でも可)でいつでも取り消すことができます。

      ・ 廃除されたときには、その子が代わって相続人となります(代襲相続)。

      ・ この推定相続人の廃除については、判例は、厳格な態度を示しており、老齢の尊属親に対する甚だしい失行があったとしても、それが一時の激情に出たものである場合は、重大な非違とはいえないして、廃除を認めていません。

    • ⑧ 姻族関係終了届について

      ・ 配偶者が死亡した場合は、婚姻関係は終了しますが、配偶者の血族との姻戚関係は配偶者が亡くなった後もそのまま継続されます。
      ・ 配偶者の死後、配偶者の血族との縁を切りたいと望む場合には、「姻族関係終了届」を提出することにより、姻族関係を解消することができます。
      ・ 姻族関係を終了するかどうかは、本人の意思決定によるものであり、配偶者の血族の了解は必要なく、届出人の本籍地もしくは所在地の市区町村役場に「姻族関係終了届」を提出するだけで手続きは終了します。この届出は、配偶者の死亡届が出された後であれば、いつでも提出でき、期限はなく、届出日から姻族関係は終了します。姻戚関係が終了することから、死亡した配偶者の血族の扶養義務を負うことはありません。
      ・ また、配偶者の遺産を相続した場合でも、姻族関係終了届はその相続権に影響するものではないため、その相続分を返却する必要はなく、そのまま受け取ることができます。
      ・ ただし、姻族関係終了届を提出しただけでは、氏(姓)や戸籍の変動はありません。もし、婚姻前の氏に戻したい場合には、復氏届が必要になります。


     

  • (2) 法定相続分
    相続人 法定相続分
    配偶者と子 それぞれ2分の1
    配偶者と直系尊属 配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1
    配偶者と兄弟姉妹 配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1

    ※ 同順位の相続人が複数いる場合の各自の相続分は均等になります。
    ※ 父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1になります。
    ※ 代襲相続人の相続分は、被代襲相続人の相続分と同じです。

  • (3) 特別受益・寄与分(相続分の修正)
    • ① 特別受益

      〇 共同相続人中に、被相続人から遺贈を受け、または、一定の生前贈与を受けた者がいる場合、このような共同相続人に対する遺贈または一定の生前贈与のことを「特別受益」といいます。

      ○ これら遺贈または生前贈与された財産は、相続分の前渡しという性格を持つのが通常であり、これらを無視して相続分を決定すると、相続人間の公平を損ない、また、被相続人の意思にも反する結果となることから、各共同相続人の相続分については、原則として一定の修正(持戻し)がなされることとされています。

      ○ 端的に言えば、特別受益者の相続分は減り、特別受益を受けていない共同相続人の相続分は増えることになります。

      ○ なお、被相続人が、20年以上婚姻関係にある配偶者に対して、居住用不動産を遺贈・生前贈与した場合は、持戻し免除の意思表示があったものと推定されます。
      婚姻期間が20年以上ある夫婦の間で、居住用不動産の生前贈与等がされた場合は、当該不動産が長期にわたる夫婦間の協力によって形成された財産であること、及び、当該生前贈与等は配偶者の老後の生活保障を意図したものであることが、認められるからです。
      この持戻し免除の意思表示の推定により、原則として相続分の前渡しを受けたものとして扱う必要がなくなり、配偶者保護に資することになります。

      ○ 特別受益の範囲
      ア 遺贈(「相続させる」遺言も同様)
      すべて特別受益に該当します。
      ※ 遺贈とは、遺言による財産の無償譲与のことです。

      イ 生前贈与
      すべてが特別受益に該当するわけではなく、「婚姻、養子縁組のため、または生計の資本」として受けた贈与に限られます。

      ⅰ 判断基準
      特別受益制度の意義からすれば、特別受益たる生前贈与に該当するためには、相続分の前渡しと評価できる程度の、ある程度まとまった贈与である必要があります。

      ⅱ 婚姻または養子縁組のための贈与
      持参金、支度金、嫁入り道具は、ある程度まとまった金額であれば、特別受益に該当します。これに対し、結納金、挙式費用については、一般的には特別受益に該当しません。

      ⅲ 生計の資本としての贈与
      居住用不動産の購入資金や営業資金の援助などがこれに該当します。
      ・ 学資(入学金、学費等)
      被相続人の生前の資力、社会的地位、他の相続人との比較などを総合的に考慮して判断します。ただし、現在の学歴水準からすれば、一般的には、私立医学部への進学や海外留学など特別に多額なものでない限り、特別受益には該当しないと考えられます。
      ・ 祝い金
      新築祝い、入学祝いなどは、特別に多額なものでない限り、特別受益には該当しないと考えます。
      ・ 生活費の援助
      基本的には、扶養義務に基づくものとして、特別受益には該当しないと考えます。
      ・ 土地の無償使用
      a 相続人が、被相続人の土地を無償で利用して建物を建てた場合、土地について使用借権の設定を受けたと評価できます。
      b この場合、使用借権の贈与を受けたものとして、使用借権相当額(更地価額の1割から3割程度)の特別受益に該当するものと考えます。
      c ただし、上記の建物において被相続人と同居し、被相続人の面倒をみていたというような場合、これと土地使用の利益は実質的に対価関係に立つとみられるため、特別受益には該当しないと考えます。
      ※ 使用借権とは、目的物を無償で使用、収益できる権利のことをいいます。
      ・ 生命保険金
      a 原則として特別受益には該当しません。
      b ただ、例外的に、①保険金の額、②この額の遺産総額に対する比率、③同居の有無、④被相続人の介護等に対する貢献の度合いなど、各相続人と被相続人との関係、⑤各相続人の生活実態などの諸般の事情を考慮して、生命保険金を独り占めすることが著しく不公平といえるような特段の事情がある場合は、特別受益に準じ、遺産に合算するものと考えられます。

      ○ 特別受益者の相続分の算定
      ・ 被相続人が相続開始の時において有した相続財産の額に、特別受益に当たる生前贈与の額を加えたものを相続財産とみなし(みなし相続財産)、
      ・ みなし相続財産の額に、法定相続分を乗じて各共同相続人の相続分を算定し、特別受益者については、この相続分から特別受益に当たる遺贈または生前贈与の額(特別受益額)を控除します。

      〈具体例〉
      被相続人の遺産が5,000万円、相続人として妻、長男、長女がおり、長男に営業資金として1,000万円を生前贈与し、長女に500万円を遺贈した場合、各人の具体的相続分はどうなるでしょうか。
      (みなし相続財産)
      5,000万円+1,000万円=6,000万円
      (具体的相続分の算定)
      妻  6,000万円×2分の1=3,000万円
      長男 6,000万円×4分の1-1,000万円=500万円
      長女 6,000万円×4分の1-500万円=1,000万円
      となります。

      ○ 特別受益の評価基準時
      相続開始時です。

       ア 受贈者の行為によって、贈与された財産が滅失またはその価格に増減があった場合

      ・ 相続開始の時において、なお原状のままであるものとみなして算定します。
      ・ 例えば、贈与当時1,000万円の価値を有する土地(相続開始時1,500万円)を生前贈与された者が、それを売却したとしても、相続開始時になお存在するものとして、相続開始時の価値である1,500万円の特別受益があったとして算定されることになります。

       イ 受贈者の行為によらず、贈与された財産が滅失またはその価格に増減があった場合

      ・ 例えば、贈与を受けた建物が地震で倒壊した場合、特別受益はなかったものと考えることになります。

       ウ 現金の贈与については、相続開始時の貨幣価値に換算した金額をもって評価することになります。

    • ② 寄与分

      〇 共同相続人中に、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした相続人がある場合に、共同相続人間の実質的な公平を図る観点から、遺産分割に当たり、特別の寄与をした相続人は、本来の相続分に加えて、その寄与度に応じた額の財産を余分に取得することが認められています。寄与をした相続人が受けるこのような利益を「寄与分」といいます。

      ○ 寄与分権利者

      ・ 共同相続人です。
      ・ 内縁の妻・相続欠格者・被廃除者・相続を放棄した者・包括受遺者は相続人ではないので、療養看護等により被相続人の財産の維持・増加につき特別の貢献をしても、寄与分は認められません。
      ※ 包括受遺者とは、遺言により、「財産の2分の1」というよう に、割合として財産の分与を受ける者のことをいいます。

      ○ 寄与の態様

      ア 被相続人の事業に関する労務の提供
      イ 被相続人の事業に関する財産上の給付
      ウ 被相続人に対する療養看護
      エ その他の方法
      上記ア~ウは、あくまでも例示であり、被相続人の財産の維持または増加をもたらすものであれば、いかなる方法による行為であっても構いません。

      ○ 寄与の内容・程度
      ・ 内容

      a 上記のいずれかの態様によって、被相続人の財産が維持され、または増加したことが必要です。
      b したがって、精神的な支援・協力にとどまる場合、これらは直接的に財産の維持または増加に結びつくものではないため、寄与には当たりません。
      ・ 程度
      「特別の寄与」であることが必要であり、「通常の寄与」では足りません。したがって、例えば、
      a 被相続人の事業に関し労務の提供を行った場合でも、相当の報酬を得ていた場合
      b 被相続人の事業に関し財産上の給付を行った場合でも、借用証書を作成している場合
      c 被相続人に対する療養看護を行った場合でも、被相続人との身分関係に基づき通常期待される程度のものにとどまる場合などには、寄与分は認められません。

      ○ 寄与者の相続分の算定方法

      ・ 被相続人が相続開始の時において有したプラスの財産(遺贈を含む)の価格から寄与分を控除したものを相続財産とみなし、
      ・ このようにして算定したみなし相続財産の額に、指定または法定相続分を乗じて各共同相続人の相続分を算定した後、
      ・ この相続分に寄与分を加算した額が、寄与者の相続分となります。

      ○ 特別受益と同じく、寄与分も共同相続人間の公平を図る趣旨から相続分を修正する制度です。しかし、特別受益は原則として当然に相続分が修正されるのに対し、寄与分は共同相続人間の協議や家庭裁判所の審判等によって初めて定まる点で異なります。

      ○ 寄与分を定める協議書 
      ■書式見本PDFはこちら

       

      ※相続人以外の親族がした寄与の考慮
       相続人以外の親族について、以下のⅰ~ⅲの要件の下、相続人に対し、特別寄与料を請求することができます。

      ⅰ 被相続人の親族が
      ⅱ 無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより
      ⅲ 被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした
      特別寄与料の額は、相続開始時の財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができません。相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に法定相続分を乗じた額を負担します。

       

  • (4)相続人の不存在
    • ① 意義

      〇 相続人の不存在とは、相続人のあることが明らかでない場合のことです。
      ○ 相続人のあることが明らかでない場合は、相続人となるべき者が戸籍上見当たらないときの他、相続人全員が相続放棄をし、あるいは相続欠格や推定相続人の廃除によって相続資格を失っている場合も含みます。

    • ② 相続財産管理人

      〇 相続人不存在の場合、相続債権者はどうすればよいのでしょうか。また、残された財産はどうなるのでしょうか。
      ○ まず、債権者や特別縁故者として財産分与を求めようとする者などは、家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てを行います。
      ○ 相続財産管理人は、管理人選任公告、相続債権者や受遺者に対する請求の申出の公告を経て、弁済を行います。
      ○ さらに、最終の相続人捜索の公告を行います。
      ○ 家庭裁判所は全部で3回の公告を行い、最後の公告に定めた6ヶ月以内の期間内にもなお相続人が現れない場合は相続人らの権利が消滅し、相続財産は国庫に帰属することになります。

    • ③ 特別縁故者

      ○ 相続人が一人もいない場合は、財産は国の物として国庫に帰属することになりますが、死亡した者と特別の縁故にあった者に対して財産が分与されることがあります。これが特別縁故者に対する財産分与の制度です。
      ○ この制度により財産の分与を求めることができる者は、(ⅰ)被相続人と生計を同じくしていた者、(ⅱ)被相続人の療養看護に務めた者、(ⅲ)その他被相続人と特別の縁故があった者、のいずれかの条件を満たす者に限られています。多くの場合、内縁の妻や養子、面倒を見ていた親戚や知人が特別縁故者となっています。
      ○ 特別縁故者として財産分与を受けるためには、相続人らの権利が消滅してから3ヶ月以内に家庭裁判所に対して財産分与の申立てを行う必要がありますので、この期間を過ぎないよう注意してください。

  • (5)相続回復請求
    • 戸籍上は相続人になっていても、実際には相続人でない者(表見相続人)が、あたかも相続人であるかのように相続財産を引き継いでしまっているような場合、本当の相続人(真正相続人)は表見相続人に対し、相続財産を返すよう請求することができます。これを相続回復請求権といいます。
    •  表見相続人(例)
      ・ 相続欠格者に当たる相続人
      ・ 被相続人により廃除された者
      ・ 虚偽の出生届による戸籍上の子
      ・ 無効な養子縁組で戸籍上養子となっている子
      ・ 虚偽の認知届で子となっている者

    • 相続回復請求権は、相続人またはその法定代理人が相続権を侵害されたことを知ってから5年間で消滅します。また、これを知らなくても、相続開始の時から20年間行使しないと消滅します。
    • 相続回復請求通知書
      ■書式見本PDFはこちら
戻る