〒360-0851
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埼玉熊谷相続遺言相談センター
代表者:内田三好行政書士
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遺留分

遺留分」とは、一定の相続人が、相続について法律上取得することを保障されている相続財産の一定の割合であって、被相続人の意思によっても奪われることのないものです。

  • 人は、自己の所有財産を自由に処分できるのが原則ですが、被相続人の財産に依存して生活をしていた相続人の生活保障あるいは共同相続人間の公平な財産相続の要請も無視できません。そこで認められたのが遺留分の制度です。
  • 遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払の請求を行うことができます。この権利を「遺留分侵害額請求権」といいます。
  • (1) 遺留分権利者
    遺留分を有するのは、被相続人の子(孫等の直系卑属を含む)、父母等の直系尊属及び配偶者であり、兄弟姉妹には遺留分はありません。
  • (2) 遺留分の割合

    〈相続人が直系尊属のみである場合〉
    被相続人の財産の3分の1
    具体例:父母が相続人の場合
    父の遺留分
    法定相続分2分の1×3分の1=6分の1
    母の遺留分
    法定相続分2分の1×3分の1=6分の1

       〈その他の場合〉
    被相続人の財産の2分の1
    具体例:配偶者と子A、Bが相続人の場合
    配偶者の遺留分
    法定相続分2分の1×2分の1=4分の1
    子Aの遺留分
    法定相続分4分の1×2分の1=8分の1
    子Bの遺留分
    法定相続分4分の1×2分の1=8分の1

  • (3) 遺留分額の算定

     遺留分額=(遺留分を算定するための財産の価額(注1))×(2分の1(注2))×(遺留分権利者の法定相続分)

     (注1)遺留分を算定するための財産の価額=(相続時における被相続人の 積極財産の額)+(相続人に対する生前贈与の額(原則10年以内)) +(第三者に対する生前贈与の額(原則1年以内))-(被相続人の債務の額)
     (注2)直系尊属のみが相続人である場合は3分の1

  • (4) 遺留分侵害額の算定

     遺留分侵害額=(遺留分額)-(遺留分権利者が受けた遺贈又は特別受益の額(注1))-(遺留分権利者が相続によって得た積極財産の額(注2))+(遺留分権利者が相続によって負担する債務の額)

     (注1)遺留分侵害額の計算上、遺留分権利者に対する特別受益の額は10年間という期間制限はありません。
     (注2)遺産分割の対象財産がある場合(既に遺産分割が終了している場合も含む。)に、具体的相続分に応じて遺産を取得したものとした遺産の額です。なお、寄与分による修正は考慮しません 。

  • (5) 遺留分侵害額請求の方法
    • 遺留分侵害額請求は、相手方に対する意思表示をもってすれば足り、必ずしも裁判上の請求による必要はありません。通常は、請求権を行使したことが明確になるよう、配達証明付きの内容証明郵便で行います。
    • なお、遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備できない場合には、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることができます。
  • (6) 期間の制限
    遺留分侵害額請求権は、

    ・ 遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈のあったことを知った時から1年間にこれを行使しないときは、時効によって消滅します。
    ・ 相続開始の時から10年を経過したときも同様です。

    したがって、遺留分が侵害されているとして、侵害額請求権を行使したいと考えている場合、早めに行動を起こす必要があります。
  • (7) 遺留分の放棄

    遺留分は、相続人保護のための制度であり、あくまで権利であって義務ではありませんから、これを行使するか否かは権利者の自由です。 したがって、遺留分を放棄することもできます。
    もっとも、相続開始前に遺留分を放棄するには、家庭裁判所の許可が必要です。これは、被相続人等が不当な圧力をかけるのを防ぐためです。